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能力者を探求するブログ

教材感想ー幅広くー

 前回は自分の思想(?)の核を成す教材として敢えて数を絞って紹介しましたが、今回はクセのあると個人的に感じる教材まで包括的に紹介、解説しようと思います。尚、その教材の特徴に加え、「どのような人が使うべきか」と言った点に力点をかなり置きました。ルートと言う提示の仕方への反省の意味もあります。是非そういった部分まで読んでいただければと思います。また、自分は国立理系入試しかわかりません。もしかすると文系入試においては当てはまらない事もあるかもしれませんので、その部分はご注意ください。

 

数学

典型問題Type100/60(東進ブックス)

 まとまりはすごく良いです。解いていて無駄をほぼ感じませんでした。ですが、絞ってあるがゆえに練習量が不足してしまうという側面は勿論あります。加えて、典型問題とは言いつつも、ある程度の典型問題の組み合わせとしての典型問題はTypeでは無く『最高の演習160/90』の方に収録されているという事もあります。なので、この教材だけでは流石に土台を固めきるのは難しい、と言いますか、もっと正確に言うのであれば、これは土台を固めるための道具をそろえる段階と考えます。それに、始めから数で殴りたいという人はやはり青チャート等を使った方が良いかと思います。

 また、この教材はあくまで「問題集」であり「参考書」では無いです。解説もあまり手取り足取り詳しいというわけでは無く、良くも悪くもシンプルにまとまっています。これは著者の松田先生の、学習者自身に手を動かして考えさせるという方針によるものです。そのため、そもそも理解がまだまだあいまいで一通り理解したことも無いという層がいきなり使うと恐らく破滅します。そういう理解は最低限終えて、それをトレーニングするための教材として真価を発揮します。繰り返しますが、あくまで「問題集」であり、「参考書」ではありません。

 

最高の演習160/90(東進ブックス)

 Type100/60の実質的な続編(?)に当たる教材です。問題ごとにTypeとの紐づけもあります。ここまでやると粗方青チャートと同じくらいの範囲をカバーするのかなと感じます。Typeに載っている問題はあまり直接的には出てこないので、Typeを使っていない人がやるのは個人的にはあまり推奨しません。逆に、Typeを使っている人は最高の演習までやってはじめて土台が整うと考えてください。

 

入試数学の掌握(YELL出版)

 最初に言いますと、おすすめではあるのですがかなり扱いにくい教材と思います。問題を特徴ごとに分類し、解く際のプロセスがその根本的な考え方から提示され、つまるところ発想法から説明されているのは良いのですが、全称命題にしても存在命題にしても、何故そういう区分けをしているのかと言う意図の詳しい説明があまり無く、慣れない区分、多くの受験生にとって恐らく馴染みのない引き出し作りにおけるやや無理やりなパターン暗記と言う風になってしまいかねない側面は否定できません。また、特に場合の数、確率、数列、シンプルな(not 簡単)微積分等の分野であったり、それ以外でも純粋に練習量が必要な問題への対応力は低いと感じました。実際に問題集をやっていると、掌握の考え方通りには必ずしも行かない問題やそもそも掌握の技術の範囲外の問題であったり、そういう技術では無く練習やパターン認識を積んで見抜くしかないだろうなと思う問題も結構多いです。更に、旧課程のまま改訂されていないため、複素数平面が含まれておらず、行列のままになっています。この点も使い辛さを増幅させてしまいます。加えて、掌握の考え方は、解き方はすぐ思いつくような割と簡単な問題には逆に当てはまらないケースも目立ち、やや逆神的な立ち位置にもあります。以上を踏まえて、野球選手で例えるのであれば、少なくとも打率も高くホームランも多いという4番打者タイプではありません。むしろ、打率は.240くらいで少し低めだけどホームランは20本~25本くらいは打つ、ただし三振は多いような、いれば強いがクリーンナップに入れるには打率が低いし犠打も期待しにくい、それこそ扱いの難しい7番打者と言う感じです。余裕がある人は使うと良いと思いますが、メインウェポンにする事は推奨しません。困った時のサブウェポンくらいに考えましょう。それ以外の人は無理にこれを使うのではなく、予備校に頼るのが良いと思います。

 

大学への数学 新数学演習(東京出版)

 最初に注意しておきますが、自分が使ったのは2018年版です。毎年新しい物に改訂されているので、最新版とは一致しない部分も多いかもしれません。

 この教材ですが、掌握と同様、個人的には余裕のある人以外はあまりお勧めしません。分野ごとの難易度の方よりも大きく、時々鮮やかすぎる解き方や「んなん知るか...」と言いたくなるような発想を必要とする問題もある割に、どのようにしてその発想に至るのかと言う部分の説明が皆無に近いです。

 

国語

現代文読解の基礎講義(駿台文庫)

 客観的速読法を実際の問題演習の中で身に着けていく教材です。ざっくり言うと強化版パラグラフリーディング現代文編です。特に修辞的な部分に注目し、筆者の主張が現れている部分を掴む技術にフォーカスしています。文章読解にミクロとマクロの視点があるとすれば、これはミクロ視点の教材です。シンプルかつクセが無い技術は自分は凄く好きなのですが、扱っている問題が結構難しく、「基礎!?」とツッコミを入れたくなります()。そのため、現代文ちんぷんかんぷんの人がいきなりやると玉砕すると思います。そういう人は他の教材を使ったうえでセンター試験くらいなら出来るという状態にしておいた方が良いかと。

 

現代文読解力の開発講座(駿台文庫)

 こちらは基礎講義とは対照的に、マクロ的な視点を中心的に扱う教材です。基礎講義が骨組みを抜き出す練習とすれば、こちらは骨組みの組み立て方を扱う教材になります。ただ、所々に霜先生の思想...?なのでしょうか、個人的には何を言っているのかわからない(問題解説とは直接的には関係ない)箇所があり、合わない人は読んでいて眠くなるだろうなと思います。。。また、マクロ視点を扱うのは良いのですが、骨組みをどう抜き出すのかはあまり言及が無いので、基礎講義をやってからこちらをやってみると良いかと思います。特に現代文が苦手な人はまずミクロ視点からやってみると良いかと思います。(と言っても基礎講義は問題が難しいので苦手過ぎると扱えないのですが。。。)

 

古文上達基礎編(Z会

 文法確認と、その文法事項を読解で実戦的に確認する読解問題のセット約50セットからなる問題集です。文法事項が読解においてどういう働きをするのか、どう活かせるのかを確認しながらスムーズに文法→読解へと移れる教材です。ただ、文法の確認問題は本当に確認問題程度なのでそこは既に一通り学習してある人が対象です。読解に関しては文法確認の後いきなり演習と言う形になるため、全く何もやったことが無いという人だと流石に厳しいと思います。どちらかと言うと文法読解一応両方やったけどイマイチ固まっていないと言う人が文法と読解を結び付けて知識と技術まとめ上げていく教材と言った方が良いかもしれません。大体センターであればこれで7割くらいは取れるようになると思います。

 

得点奪取古文(河合出版)

 数少ない記述対策が出来る教材ではあります。ただ、正直「そんなんわからんやろ...」と言いたくなるような解答が多いです。解答が間違っているとかでは無く、自分から見れば受験生がそこまで読むのは不可能に近いと言いたくなるような模範解答が目立ち、返って学習において参考にならない場合も多いのではないかと感じました。また、採点例もあるのですが、その解答がどうして間違いなのか、また、どう考えれば正解にたどり着けるのかと言った部分がほぼ無く、相当な実力者でない限りは使えない気がしました。

 

漢文ヤマのヤマ(学研)

 頻出句法を網羅しています。これをやっておけば見たことが無い句法が連発されて何もわからないという事態はほぼ無くなるとは思います。ただ、この教材にも弱点があります。語順を意識せずに訓読で覚えてしまうという点です。句法は例文で提示されるのですが、「どの漢字の下に目的語が来て~」のような説明はあまりなく、本当に型を示すだけで終わってしまうので、使用者が意識的にそこを覚えないと訓点が無いと読めないという事態に陥ります。要するに白文から正しい読み方を選ばせる、白文から訳させる問題への適応力が皆無になってしまいます。取り組む際はそこを注意しておいてください。

 

漢文早覚え即答法(学研)

 本当に何もわからない人がまずやる分には悪くないと思います。ただ、扱っている知識も流石に入試に対応するとなると足りないと感じますし、句法の説明もヤマのヤマや高校とってもやさしい漢文と比べると部分的すぎて逆に良く分からないのではないのかとも感じます。正直これだけで入試に対応しきるのはかなり難しいと思います。句法を覚えるための面白いオリジナル長文が付いているので、それは使えるなとは思いました。

高校とってもやさしい漢文(旺文社)

 一般的な句法暗記的なアプローチとは少し異なり、英語と同じようにSVOなどの文型を提示し、所謂英文解釈ならぬ「漢文解釈」をしてくれる教材です。自分はこうしたものを習ったことが全くなく、はじめて読んだときは正に目から鱗でした。暗記に頼り切らず、句法を理解して覚える事を可能にしてくれる教材だと思います。例文もオリジナルなユニークでわかりやすい物を含んでおり、タイトル通り初心者にもとってもやさしい一冊だと思います。

 

得点奪取漢文(河合出版)

 得点奪取シリーズの漢文版です。古文と比べれば難易度は適当だと思います。ただ、やはり何故その解答がダメでその解答が良いのか、どうしたら正解にたどり着けるのかと言った部分はあまり解説が無いので、やはり実力が結構無いと解答暗記で終わってしまいかねません。

 

英語

英文読解入門 基本はここだ(代々木ライブラリー)

 英文解釈の入門書です。説明にクセも無く、踏み込み過ぎず踏み込まなさすぎず、そして分量も以外としっかりあります。個人的には一冊目にやるにはこれが良いと思います。ただ、文法は文法書や文法ドリル等で一通り理解しておいた方が良いとは思うのと、品詞の役割と文型については自分で強めに意識した方が良いかなと感じる事はあります。教材そのものでは無く使用者とのマッチングの問題なのですが、説明の踏み込みのバランスが良すぎるがゆえに、あえて強く意識しておいた方が良い部分をすーっと流してしまう事態が起こりうるかなと感じます。

 

富田のビジュアル英文読解基本ルール編(代々木ライブラリー)

 こちらも英文解釈の入門書です。基本はここだと比べると、文法への踏み込みが深いです。解釈と言うよりは文法と感じる人が多いかもしれません。自分もそう感じました。解釈そのものをゴリゴリと言うより、解釈の為に必要な文法理解をまとめ上げる教材と言うのが正しいのかもしれません。ただこの教材は何故か解説があまりにシンプルで、この解説だけでは理解しきれないと感じる部分も目立ちます。取り組む際は文法書を脇に置きましょう。また、それゆえいきなり解釈の一冊目にやると詰まってしまうのではないかなと言う心配もあります。自分だったら基本はここだで最低限読めるようになってからこちらで文法をより深く解釈と結びつけるように使います。最後に、この教材を使う上での注意を2点まとめておきます。一つ目は、解説が時々文法用語での説明で終わっている事がある点です。例えば、「このwhther節は名詞節を作る」と言われても、「名詞節」と言う用語をきちんと知らないで進めてきた人には「???」と思われると思います。こういう時に、文法書ないしは他の英文解釈の教材を調べて、「名詞節」とは何か、「名詞節」はSVOCの中で何になるのか、「名詞節」の時はどういう風に訳すのかと言ったことをきちんと調べる事をして下さい。もう一つは、レイアウトの関係なのか基本事項の説明である「基本ルール」が何故か各章の後ろに掲載されている点です。個人的には先に読んでおいた方が良いと思うのですが。正直英語の勉強を始めてこの段階で富田先生が要求するほど文法を意識できているとは思えないですし、基本ルールを提示せずにいきなり問題を解かせても良く分からないだけの状態になってしまうと感じます。もしかすると何か意図があるのかもしれません。ただ厳しければ自分は先に基本ルールを読んでみる事を推奨します。尚、何故か比較と倒置が取り立てては扱われていません。

 

富田の英文読解100の原則(大和書房)

 富田のビジュアル英文読解基本ルール編と同じく、文法への意識が強烈な一冊だと思います。英文解釈における英文分析の仕方を100個の原則と言う形でまとめているのですが、何故そういう原則になるのかの文法的説明がやや説明が乏しいと感じる部分や、例外もあったり、やや言い過ぎでは無いかと思われる原則も見られます。とはいえ、構文の形式的なアプローチをシステマチックに示し、かつ日本語訳の作り方の詳しさ等の意味的アプローチの説明も深く、ここまで一つ一つの文に力を入れて解説されている教材は中々無いと思います。

 扱っている英文の難易度を考えるとこれから英文解釈を始めたいという人がいきなり扱う教材としては厳しいと思います。また、問題ごとに必要な原則を提示していくという形式なのですが、特に文法事項ごとに原則を整理して提示したり問題を配列したり等はされておらず、順番はグチャグチャです。なので自分で整理して行かないと混乱するかもしれません。また、この教材に取り組む前提として文型の理解が必要とされており、上の最初で解説されているのですが、正直それだけでわかる人は少ないと思います。その部分の理解のため、そして内容ごとに整理された富田先生のアプローチを確認しておくためにも、100の原則をやるのであれば富田のビジュアル英文読解基本ルール編の方を先にやっておいた方が良いかと思います。

 

ポレポレ英文読解プロセス50(代々木ライブラリー)

 一言で言うと「英文法を忘れて解釈する教材」かなと思います。SVOCとか関係詞説とかはまず解釈出来るようになるまで最初は意識しますが、やって行くうちに意識せずに出来るようにするものだと思っています。例えば、ゲームをやり始めたばかりの頃は操作説明を読まないと操作が分からずに困ってしまうと思います。ただ、繰り返しプレーしているうちに説明書の内容は体が覚えてしまい、何も見なくても、何ならコントローラーを見なくても間違えずにボタンを押して操作出来るようになりますよね。この「意識→習得→忘れる」と言う流れの中で、ポレポレは「習得→忘れる」の間の「→」の部分に当たる教材かなと思います。少し話がそれますが、富田の英文読解100の原則なんかは「意識→習得」の部分をカバーする教材かと。要するに、ゲームの操作説明書とチュートリアルを徹底的にやっている教材なのだと思います。ポレポレの解説は確かにガッツリあれからこれまで詳しいというわけでは無いですが、自分は「これさえ意識すれば後は無意識下で処理できるようにしよう」と言う目標地点のようなものだと捉えています。もしポレポレで良く分からないと感じたら、もっと英文法を意識して解釈する段階に戻ってみるのが良いと思います。

原点回帰~おすすめ教材について~

自分は今までいろんな教材について話してきましたが、その中から比較的クセが無く、かつ自分の技術の中心を成すであろう教材に敢えて絞って紹介します。

 

 

数学

高2数学実戦講座問題集(鉄緑会)

 鉄緑会の高2に配られる自習用問題集になります。東大を狙うなら個人的には最強にして至高の教材です。量質共に充実の内容です。

 

国語

現代文読解の基礎講義(駿台文庫)

 自分的に言わせてもらうとハイレベル版パラグラフリーディング現代文編です。扱っている客観的速読法自体は非常にシンプルです。

 

英語

英文精読へのアプローチ(研究社)

 我らが太先生の著書ですね。自分は東進で太先生の東大英語を受講しました。扱っている技術自体は授業と同じです。ただ、こちらの方がよりまとまった書き方をしている部分があります。授業だともっと具体的な説明を充実させているのですが。

 

情報構造で読む英語長文(代々木ライブラリー)

 構文や表現では無く、きちんと文章を読むときの頭の使い方にフォーカスを当ててくれている数少ない長文問題集の一つです。少し解説に踏み込みが足りないと感じる人もいるかもしれません。